介護士による医療行為とは

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被介護者を中心に置き、医師、看護師、介護士、薬剤師、栄養士等、様々な専門職、関係機関同士で情報を共有し合うという他職種連携が大切になってきています。医療と介護の境目があいまいな部分も多く、実際現場に入った際には、いわゆるグレーゾーンと呼ばれる領域が多々あることでしょう。

被介護者に平常と違う何らかの異常があった場合は、介護士が対応可能なものかどうか、きちんと見定めることが大切です。そして、その情報を自身の中だけで終わらせること無く、他職種と共有を行うことで、被介護者にとっての安全や安心を提供できる質の良いケアにつながることでしょう。

医療行為とは

医療機関において医師の医学的判断や技術に基づいて治療や診断を行うことを医行為または医療行為と呼びます。専門的な知識を持って、適切な治療を行わなければ人体に危害を加える恐れもあります。通常は看護師も医師の指示に従ってその処置を行っています。

介護士が行える医療行為

介護士に認められている医療行為のなかで、最も大切で馴染み深いものがバイタルチェックでしょう。介護士が使用できるのは基本的に電子機器のみと認識しておいて良いと思います。

介護士が行えるバイタルチェックは、血中水銀または電子体温計を使用し腋窩(えきか)での測定、耳式電子体温計を使用した外耳道での測定、自動血圧測定器を使用して血圧を測ること、パルスオキシメーターを使用した脈拍及び血中酸素飽和度(SpO2)の測定です。
安静時、左側での計測が基本です。左側に麻痺等ある場合は右側での計測が推奨されていますが、これは各施設、事業所に確認を取り、測定を行う部位の確認をしてください。

数値以上に大切なのは、介護士の観察する眼です。施設、訪問に関わらず、被介護者の変化に一番気付きやすい立ち位置にいるのが介護員です。平常時と何か違うところは無いかを普段のケアの中で気付けるように心がけましょう。

通常と違う変化があった場合、そこで改めてバイタルチェックを行い、状況に応じて各部署に連絡を取る、これを頭に入れておくと良いでしょう。
 

介護現場でのあいまいな医療行為

被介護者の症状の判断は各現場の医療従事者に委ねられているのが現実です。例えば、非医療従事者である介護士が行えるものの中に「軽微な切り傷、擦り傷、やけど等について専門的な判断や技術を必要としない処置をすること」とありますが、どこまでが軽微の範囲なのかは、各個人で意見の分かれるグレーな部分といえます。

また、被介護者の容態が安定しており、投薬量調整の為医師や看護師の経過観察が必要でなく、内服薬については誤嚥の可能性、坐薬については肛門からの出血が認められないことを前提として介護士が行える医療行為もあります。皮膚疾患であれば化膿や表皮の剥離状態にもよるでしょう。

これには、医師の許可、被介護者本人または家族の承認、薬剤師の服薬指導、看護職員の保健指導、助言を遵守するという原則がありますので、自己判断での民間療法等は決して行わないようにしてください。

具体的には、褥瘡の処置以外での軟膏の塗布、湿布の貼付、点眼、1袋にまとめられた内服薬の服薬、坐薬の使用、鼻腔粘膜への薬剤噴霧、これらが容認されています。

施設の場合、介護士が行うこともある爪切り、これにも線引きがされていますが、爪そのものに異常なく、尚且つ周辺の皮膚に化膿や炎症が無く、病的でない爪のみ介護士が爪切りややすりで整容することが出来ます。糖尿病を患っている被介護者の場合は、万が一深爪をしてしまった場合壊死の危険性もありますので、これも医療従事者の手で行う必要があります。

また、各都道府県で始まっている喀痰吸引ですが、これは施設または事業所が組織的に決定した場合において現場の介護士が行えるというものです。その際にも必ず被介護者個々に応じた医師の指示書、介護士本人の喀痰吸引等研修の履修、指導資格を持った看護師の指導を受けて初めて行えるものとされています。

まとめ

医療行為を行う際には、必ず被介護者の既往症や今の症状を確認し、適切な感染予防を行うようにしましょう。介護士の身を守るとともに他の被介護者への感染拡大防止にもなります。特に血液感染する場合は、自分の身を守れるのは自分だけだということを理解しましょう。判断に迷ったときは、必ず医療従事者と連携をとるようにしましょう。

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