現在、留置バルーンはできるだけ抜けるように考えることが主流です。尿道からの感染はかなり根強く、拘束感も強いので抜ければ抜いた方が良いとされています。しかし前立腺肥大や膀胱の問題で抜くことが困難な人もいます。
では、介護施設内ではどのようなことに注意して管理していけばよいでしょうか。
留置バルーンは前述したとおり、感染や違和感、拘束感など利用者のADLを下げる要素が多いので、抜けるのであれば抜きたいものです。
それでもバルーン留置せざるを得ない疾患とは、
などです。単に尿失禁が頻回であるなど、基本的に自尿がある人は入れておくべきではありません。
医師の指示でバルーン留置はしますが、日ごろ観察する看護師は、安全な管理と共に「もしかしたらバルーンを抜くことはできないか」という目線を持って介助に携わることが必要です。
バルーン留置していると、尿道が常に外界と接触している状態になりますから、常に感染の危険にさらされています。また、バルーンバック内に尿が溜まっていて、何かの拍子で逆流してもやはり感染源となります。
感染防止のためには、
などが必要となりますが、尿を破棄するごとにアルコール綿で拭くなどは不要です。
私たちが排泄する時に行う清潔動作と同様に、基本的な保清行動がとれていれば大丈夫です。
バルーンチューブが男性でも女性でもデリケートな部分に挿入されていることも重要で、皮膚トラブルとは隣り合わせですし、尿道口が段々広がってしまうことも少なくありません。挿入部の発赤や腫脹が無いかどうか、尿漏れが頻繁では無いかを確認します。
尿道口は感染を起こしている場合以外、消毒などをして常在菌を無くしてしまうような行動をしないことです。シャワーなどで保清を保ち、皮膚トラブルを起こさないようにします。そしてとくに男性の場合、バルーンチューブはお腹側に固定するようにしましょう。
歩行する人などは足側でも良いですが、しっかり固定しておかないと引っ張られて尿道損傷の危険があります。
留置バルーンを入れている人は、基本的に尿が出づらい状態ですから尿量が保たれているかのチェックは大切です。尿量が少ないと感じたら、すぐに医師報告だけでなく水分補給は足りているかなど日常生活を見直し、必要時水分補給を足すなどの処置をします。
また、浮遊物は無いか、血尿は無いか、色は正常かなどを日常的に見るようにします。
留置バルーンの洗浄と交換は介護施設内基準にもよりますが、バルーントラブルが無ければおおよそ3~4週間に一度行います。看護師が行うことも可能ですが、施設医やかかりつけ医に受診して行うことも多いでしょう。
バルーンの詰まりが考えられる場合は、看護師が交換することを推奨されますが、洗浄は医師の指示の下に行います。必要外の洗浄は膀胱内の逆流によりやはり感染の危険もあります。
バルーンを交換した際は、その後しばらくスムーズな尿の流出を確認します。また、交換時の出血が無いかも確認が必要です。
バルーン交換の注意点は、
などになります。
介護施設で留置バルーンを管理するのは、一工夫必要です。設備や物品が揃っていませんから、家族にも協力を得てみていかなくてはいけません。
特に自己抜去の危険がある人などは、抑制も必要ですが、長い生活にあまり不自由があってもいけないですし、留置バルーンに対しては悩ましいものでしょう。できるだけ利用者のADLやQOLが下がらないような工夫をしていきましょう。
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