介護の仕事では、緊急時の対応を避ける事ができません。しかし対応の手順を理解していく事で速やかな治療に結びつけ、利用者の状態改善に貢献できる可能性があります。利用者と接する機会の多い職業として、緊急時の対応について知識を深める事は重要です。ここでは介護の仕事における緊急対応の手順等について紹介します。
介護の仕事は介助を行う上で「何か変わった事は無いか」「いつもと違う様子はないか」を注意深く観察する事が重要です。例えば、意識がいつもよりはっきりしない、いつもより表情が暗い、皮膚に今までなかった発赤が見られる、足が腫れていて着替えの時に苦痛の表情を浮かべている等、心身の状態をよく観察しないと重大な危機を見逃す恐れがあります。
介護の仕事の様子観察は、少しでも利用者に変化があれば医師や看護師に報告するという大切な意味があります。緊急時に速やかに対応できるよう、日頃から利用者の持っている病気、飲んでいる薬、血圧や体重といった情報をきちんと把握する事が必要です。
利用者に変化があった場合、介護職員が勝手に判断する事はできません。例えば背中に痛みがあるとの訴えに対し、勝手に市販薬を塗って処理する事はあってはならないのです。介護サービス利用者は様々な病気や障がいを抱え、背中の痛みが内臓疾患の影響という可能性もあります。
医師や看護師に利用者の状態を報告する時は、利用者の表情や訴えている内容、唇の色、血圧や体温、脈の状態、傷の大きさ、出血の有無といった状態に応じて分かりやすく説明します。意識を失っているような重篤な状態であれば意識レベルの程度について聞かれる事もあります。介護の仕事では医療職が近くにいない事もあり、介護職員の報告が応急処置や今後の対応に重要な判断材料となります。
介護の仕事では、最初に状態変化に気付いた場合、家族に対してその時の状況を報告する事もあります。家族は利用者の心身の状態に対して強い不安を感じていますので、状況報告と同時に精神的なフォローも重要です。
家族は、大切な家族に何があったのか気になっています。包み隠さず正直に状況や対応について報告する事が大切です。報告の際は、専門用語を用いないで誰に対しても分かりやすい言葉で伝える事を意識する必要があります。適切な報告を行う事で家族や地域からの信頼も高まり、キャリアアップにもつながる可能性が出てきます。緊急時には管理者が施設の代表として家族に報告する所も多いですが、家族によっては発見した本人から話を聞きたいと言われる事もあります。
介護の仕事では、緊急時に対応した場合、その内容について報告書を作成する必要があります。これは介護職員に反省を促す書類では無く、今後の適切な緊急対応に役立てるための大切な書類です。
他の職員は、その書類を確認して今後の緊急対応の参考として活用し、行政機関から調査が入った場合にも適切な対応を行った事を示す書類として重要な役割を担います。よって利用者の状態変化を発見した場所、その時の様子、医療職に報告した内容、家族への対応、治療結果等の詳しい内容を分かりやすく記入する事が大切です。
介護サービスを受けている人は、心身機能の低下から病気やケガにかかるリスクが高まっています。そのような方を支援する介護職員は、人の生命を守るという意識を持ち、優れた知識と技術を通して安全なサービス提供を心掛ける必要があります。自らの速やかな対応によって最適な医療につなげる事ができれば、介護の仕事のやりがいも高まります。
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