ケアカンファレンスとは、一人一人の入所者の現状や問題点を提議し、それについて善後策を考えたり計画を練ったりする会議のことです。この会議で、看護師はどのような立ち位置で参加するべきでしょうか。
一人一人の入所者や利用者には、日々何らかの問題が発生します。それは、「入所中に認知症を発症してしまった。今後どうするか」といった大きな問題から、「日ごろから食欲が無い。何か良い方法は無いか」「他の入所者とのトラブルがある」という日常的に起こる問題もあります。
それらを関係する介護士、看護師、場合によってはケアマネジャーなどを交えて、原因と対策を話し合います。
何かトラブルや事案があって行うケアカンファレンスと、常日頃、時間を決めて行うケアカンファレンスがあります。
そのケアカンファレンスの意義は、入所者や利用者に対し
を行い、安定したサービスを提供するために行います。
介護現場において、看護師は、やはり医療行為などに関わる分野で意見を求められることが多いです。
例えば看護師より、「褥瘡(じょくそう)などの予防についてこのようにしてほしい」、と伝達するだけのこともあります。
しかし、看護師が持っている医療の知識や療養についての意見と、実際の現場でできることをすり合わせなくてはいけないこともあります。
例えば、日々食欲が落ちてきた入所者がいたとします。
それについてケアカンファレンスで話し合う時、介護士からはそのほかの日常生活の様子や、家族関係などについて意見が出ることでしょう。それに対し、看護師は医療者としての視点で提議ができます。
食欲が無くて食べられないことの弊害(脱水など)も伝えなくてはなりませんし、またそもそも、その方の必要な摂取カロリーに対しても提案することができるでしょう。
その理由は体型や状態に関わらず一律に食事が出て、その何%食べたかと記載することも多いためです。食事量自体が多すぎる時もあります。
そして、食欲減退の原因に関して、例えば消化器の腫瘍など病変が絡んでいる場合も示唆し、極端な症状の場合は医療機関を受診するなどの提案も必要です。
このように、介護士からは環境面や療養上の問題点などが提案されることに対し、看護師は看護師の視点で提案し、お互いの情報をすり合わせて解決策を練っていくのです。
ケアカンファレンスで大切なことは、それぞれの職種による意見をきちんと聞くことです。介護施設は医療施設ではありません。医療施設では医療行為に関わることが最優先されます。
例えば、前述した食欲減退に関しては医療施設では原因究明にすぐ胃内視鏡をしたり、採血をしたり検査が繰り返されます。その結果で点滴が行われたり、場合によっては経管栄養を入れられたりします。
極端に言うと医療施設では、食べられないことで脱水にしてしまうことができないのです。
しかし、介護施設ではその方の状況に応じてもう少し柔軟な対応が求められます。
例えば、疾患を抱えながらも難治性で最期の時間をできる限り自宅で過ごしたい、という人もいます。入所していても、単純に老化による食欲減退もあります。
ただ必要カロリーが摂取出来ることが、介護施設の様な療養の場所では求められないのです。食欲減退は、もちろん健康上のトラブルを起こしますから、看護師として医療的な視点の関わりも必要ですが、そこを最優先させる場所では無い、ということがケアカンファレンスのポイントです。
医療と介護の視点、そしてケアマネジャーなどの視点を融合させて、その利用者や入所者が少しでも快適に療養できるような話し合いが理想です。
看護師は、看護学校時代からケアカンファレンスに慣れています。看護師独自の視点も大切ですが、そこを押し出してしまうと、介護施設のケアカンファレンスとしてはズレてしまうこともあります。
有意義なケアカンファレンスのために、医療施設とは少し違った参加の仕方をしてみてください。
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