入所系介護施設の看護師の役割と仕事

入所系介護施設とは、特別養護老人ホームやケアハウスのことを指します。
入所系介護施設の種類はかなり多くありますが、入所者の要介護度と予算、認知症の有無、医療行為の有無によって種類分けされています。 

今回は、看護師が必要な入所系介護施設にはどんなものがあるか、そしてそこでどんな役割を担っているのかをご紹介します。

■看護師が配置されている入所系介護施設とは？

看護師の配置が義務付けられている入所系の介護施設は複数あります。

• 介護老人保健施設……入所者100名に対し9名の看護師
• 特別養護老人ホーム……入所者100名に対し3名の看護師
• 有料老人ホーム……入所者30名に対し1名の看護師 

上記が代表的な入所系の介護施設と、その施設に配置が義務付けられている看護師の数です。

その他、医療度の高い方が入居している施設は、以下のようなものがあります。

• 介護付き有料老人ホーム
• 介護老人保健施設
• 特別養護老人ホーム

そして、医療度が中等度の方が入所する施設は、以下になります。

• 住居型有料老人ホーム
• サービス付き高齢者向け住宅

さらに医療度が軽い方が利用するのが、以下の入所施設です。

• グループホーム
• ケアハウス

グループホームには、常時看護師が居る必要はありませんが、介護老人保健施設では、常時看護師が居て、医療ケアが必要な方も多く入所しています。

このように、ひとくちに”入所系介護施設”といっても多くの種類がありますし、夜勤の有無や看護師の仕事内容も大きく違います。
自分のライフスタイルを参考にしながら、それぞれの施設の特徴をじっくり考えて、働く施設を選びましょう。 

■入所系介護施設での看護師の役割

介護老人保健施設などの、医療度が高い入所系介護施設であっても、あくまでも福祉施設は福祉施設です。
そのため、人数は看護師よりも介護士の方が多く配置されています。 

看護師が、介護士と共同して行う仕事も多くあるでしょう。
また、その中で、看護師特有の仕事ももちろんあります。 

福祉施設といっても、「在宅には戻れないが入院を継続するレベルでは無い」という方が多く入所している介護老人保健施設などでは、看護師の仕事は慢性期の病棟並みにあります。

～介護老人保健施設に入所している方の症状の例～

• 胃ろう留置中
• 頻回な痰の吸引が必要
• 気管切開中
• 褥瘡(じょくそう)処置が必要
• 人工肛門

一般的には、バイタルサインのチェック、服薬管理、排泄管理、入浴の可否の判断などがメインの仕事となってきますが、施設によって＋αの仕事が多くあるでしょう。

「福祉施設で働いてみたい」と思ったときには、それぞれの施設の看護師がやるべき仕事(看護業務の量や内容、夜勤の有無、オンコールの頻度など)をよく調べる必要があります。

■入所系介護施設で働く 

入所系介護施設で働くことのメリットは、残業がほとんど無く、プライベートを充実させるための時間が持てるということです。
入所者が急変すれば転送になりますし、時間外労働はほとんどないでしょう。 

また、病院では慌ただしくて、患者とほとんどコミュニケーションも取れない場合も多いですが、入所系介護施設では、1人1人の入所者とじっくり関わることができます。
もし何らかの理由で、看護師の仕事に長期のブランクがあった時や、産後の復職などでも比較的入りやすいのではないでしょうか。 

ただ、看護師の人数は限られているので、重要なものを含む様々な判断を迫られて、その答えを1人で決めなくてはいけない時もあります。
「こういう状況下での判断力を身に付けられる!!」とプラスにとることも出来ますが、不安な方はなるべく看護師が多く配置されている施設の方が良いでしょう。 

医療技術のスキルアップに関しては、病院ほどあらゆる業務があるわけではないので、上昇志向の強い方の中には、次第に仕事を物足りなく感じてしまう方もいるでしょう。
また、基本的には介護士中心の仕事なので、居心地が悪く感じたり、自分の立ち位置に疑問を感じることもあるかもしれません。 

上記のような問題は、その人のコミュニケーション能力も関係しているでしょう。
看護師と介護士はそれぞれの専門分野を敬いながら、持ちつ持たれつの関係を忘れずに業務にあたり、入所者に良い介護が提供できるように努めましょう。 

■まとめ

福祉施設で働く看護師には、病院で働く場合とはまた違う”発想の転換”が必要です。
患者の疾患の観察やケアよりも、現在の健康レベルを維持することがメインの業務なので、人によって向き不向きもあるかもしれません。 

入所系介護施設では、高齢者の方とのコミュニケーションにより、意外な発見や教えをいただくこともあります。
時には、「看護師としての姿勢を学べた」と思うこともあります。

病院とは違う面で、勉強になることもたくさんあるのです。