介護施設には様々ありますが、通所型の介護施設の中でも、いくつかの種類に分かれます。
そして、その施設の違いによって看護師の必要性や仕事の内容は若干変わってきます。
これから福祉施設での看護を希望される方のために、施設によってどのように役割の違いがあるのか紹介します。
まず通所系の介護施設が、入所するタイプの介護施設と比べて大きく違う点は、”施設の利用者が通所できる状態である”という点です。
「通所できる」ということは、自宅からの移動にそれほど負担が無く、また自宅での生活が可能な程度のADL(日常生活動作)が保てているということが言えます。
具体的には、上記のような状態の方が多く利用しています。
ケア度はそれほど高くないかもしれませんが、時に認知症の方が通所されていることもあるので、そのような利用者に対するケアの知識が不可欠です。
デイサービスは要介護者の家族の負担の軽減、介護時間の減少を目指したもので、朝9時頃から夕方16時くらいまで、要介護者を預かることが出来る老人介護施設です。
その間、家族は休養したり、用事を済ませたりすることができます。
また、入浴や排泄介助、歩行介助など、ある程度の身体ケアも受けられます。
医療的な治療を行う事はできませんが、持病の観察や処置など、ケアプランに組まれたサポートは行うことができます。
例えば、利用者が水虫を持っていて軟膏処置が必要な場合、入浴の際に看護師が状態を見ながら処置を行います。
これだけでも家族の負担は減りますし、設備が整った施設でのケアを受ければ、利用者にも安心してもらえるでしょう。
“利用者と家族へのサービス”という観点が強いので、あらゆるレクリエーションが企画され、地域と交流が持てるようなイベントも催されています。
通所施設での看護師の勤務は日勤のみです。
これだけでも「通所の介護施設で働きたい!!」と思うかもしれません。
デイサービスでは、以上のことなどをチェックし、必要時に家族に受診を勧めます。
加えて、バイタルチェックの結果により、入浴して良いかどうかなどを判断します。
このように、デイサービスに来られた方が安全に過ごせるよう、しっかりと健康チェックを行うことが看護師の役割になるでしょう。
必要があれば食事介助にも入り、嚥下の様子を確認して、食事形態の改善などのアドバイスができると、介護士も安心して食事介助を行うことができます。
看護師と介護士、お互いの目線からの意見交換は通所者にとっても有効なものになります。
その他には、介護スタッフと一緒にレクリエーションにも参加します。
デイケアは、デイサービスに比べて医療的行為が重視されています。
レクリエーションではなく、リハビリ等をして身体機能の維持を行うことを目的とした施設です。
デイケア施設には、専任の医師が居て、理学療法士や作業療法士がいます。
また、看護師の役割もより医療的になります。
デイケアは、医療的なケアやリハビリをする施設なので、看護師の役割は医療行為が増えます。
脳梗塞やパーキンソン病などの後遺症や、認知症(認知症専門のデイケアが多い)、また廃用症候群などで継続的なリハビリが必要な方をケアします。
通常のバイタルチェック、入浴の可否の判断などと共に、デイケアでは痰の吸引や胃ろう管理、褥瘡(じょくそう)などのケアがあります。
デイサービスに来られる方よりも病状の変化が大きい傾向があるので、しっかりとしたアセスメントをする必要があります。
要介護者が何とか自宅には帰れたものの、医療行為の多い状態では周りの家族も疲弊しますし、これで良いのか不安になったりします。
そういった時に、家族の休養の場所を作ってアドバイスをしたり、医療機関と繋いだりすることができるデイケアの看護師としての仕事は大変ですが、やりがいもあるでしょう。
福祉・介護施設における看護師の仕事は、一見介護士の仕事に隠れてしまうような気もします。
しかし、実際は利用者が健康に、そして安全に過ごせるようにするという大切な役割があります。
確かに、介護士主体の仕事も多いですが、看護師自身の心持ち1つで出来ることは増えます。
何より、障害や後遺症が有る方、そして高齢になった方のために、自宅で落ち着いた日々を過ごせるようにお手伝いができるのは、やはり看護師の役割として大きなものです。
通所施設の利用を介して、通所者が少しでも長く在宅で過ごせる援助が、通所型の福祉施設での看護師の役割といえます。
カテゴリ
アーカイブ