「居宅介護支援事業所で働くケアマネジャーです」と言うと「大変そう」「忙しそう」というマイナスイメージを持たれる方が多いのではないでしょうか?
居宅介護支援事業所で働くケアマネジャー(以下居宅ケアマネ)は、在宅での生活や介護の相談、ケアプランの作成だけではなく、要介護者の家族と関わることも仕事のうちですので、施設とは全く違う信頼関係が必要になります。
また、介護サービス事業所との関係作りも不可欠であり、そういう部分も大変そうだと思われるかもしれません。
しかし、居宅ケアマネは大変な事ばかりではありません。実は良い事もたくさんあります。今回は居宅のケアマネが仕事をしていて良かった事や、嬉しかった事を紹介いたします。
居宅ケアマネは毎月1回以上、モニタリングのために要介護者を訪問しなければなりません。また月のうちに介護保険の更新がある場合や要介護者の身体の状況が変わった場合、また、サービス内容に変更がある場合は、サービス担当者会議を行います。
会議の日程調整は、ケアマネ自身で行うことが出来ます。要介護者と家族の都合が、もちろん最優先ですが、それを踏まえたうえで自由に調整できます。
ケアマネ自身の私用がある場合でも、事前に分かっていれば会議の日程は調整できるので、他のスタッフに迷惑をかけるなど気を遣うことはなく、精神的には負担が少ないです。もちろん、1人でスケジュールを調整することには責任も伴いますが、毎月のスケジュール管理が自己都合でできることは1つのメリットです。
業務の中で、要介護者やその家族とコミュニケーションを取り、要介護者のこれまでの生活歴や人生観を把握することで、世に2つとない、その人だけのケアプランを提案する手助けになります。
どのような生き方をしてきたのか、どんな土地に住んでいたのか、どんな性格なのか。それを知る過程では、必ず新たな発見があり、刺激もあるはずです。
女性、男性問わずに様々な時代を生き抜いてきた方々の人生を、第三者として垣間見ることができる仕事は、そう多くはありません。
例えば、昔の思い出や子どもの教育方法や夫婦や義親とのつきあい方など、介護とは直接関係のない話でも、積極的に耳を傾けてコミュニケーションを楽しむことが、信頼関係を築いていくことに大きく関わってきます。
例として、ある居宅ケアマネの話を紹介いたします。
『娘さん(年金暮らし)は90歳台の両親を介護されていました。
娘さんは、両親の介護が大変で、一時は介護施設への入居も検討されましたが、両親は拒否されました。両親ともに「家がいい、家にいたい」と、在宅での看取りを強く希望されたとのことです。
そこで私が居宅ケアマネとして訪問診察、訪問看護、訪問入浴、在宅酸素、訪問リハビリなどの自宅でできるサービスを精一杯プランニングさせていただきました。
在宅介護サービスの利用開始から半年後、両親ともに苦しむことなく自宅で逝去されました。
両親が生前の希望通りに、自宅で安らかに逝去されたのは、娘さんが最期まで在宅介護を頑張ってくださったからです。
それでも娘さんは、「私、希望通りに両親を家で看取ることができてよかった。何の後悔もありません、ありがとう」と、私に感謝の言葉を下さいました。この仕事をして良かったと、やりがいを感じた瞬間でした』
このように居宅ケアマネには、仕事を通して学べるかけがえのない経験がたくさんあります。要介護者の家族を含めたたくさんの人と出逢い、その人生に寄り添えることが、居宅ケアマネの仕事の1番のやりがいです。
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