認知症高齢者が増加している今日において、認知症の症状によって介護者の負担は増加していきます。特に、被害妄想が強い高齢者などに対して、対応方法に困っている介護者も多いのではないでしょうか?
しかし、認知症高齢者への対応方法や考え方を変えるだけで、介護の仕事はとても楽しくやりがいのあるものとなります。ここでは、被害妄想のある認知症高齢者への対応方法について紹介します。
認知症高齢者に限らず、介護の現場において重要なこと、それは受容・共感・傾聴の3原則です。これは、どの業界でも必要不可欠なことであり、この受容・共感・傾聴ができることで、仕事の幅もその人自身の能力も大きく拡大していくことを理解しておきましょう。
特に、被害妄想がある認知症高齢者への対応の際には、「決して否定しない」と言うことは誰しもが分っていることです。
しかし、否定をしないと言うことだけでは、高齢者の対応は難しいというのが現実です。そこで、認知症高齢者が言っていることに対して、受容し共感することが重要となるのです。
例えば、「私の物を誰かが勝手に持っていく」といった被害的な言動に対し、受容・共感・傾聴の3原則を使い、「○○さんは、○○さんの物を、勝手に誰かに持っていかれたと思っていて、とても辛い気持ちなんだね」などと回答するのが良いでしょう。
認知症高齢者の気持ちに寄り添う回答を行うことで、高齢者の興奮は落ち着くことがあり、被害妄想を抑えられることを理解しておきましょう。
認知症高齢者は、昨日できていたことが今日できなくなっていることも珍しくありません。しかし、介護者としては、「昨日できていたのだからやって欲しい」と考えてしまうこともあります。
特に、被害妄想が強く、全てに対して否定的な対応を取っている高齢者に対しては、「介護拒否」という言葉で片付けてしまうことも少なくありません。その結果、介護者自体も介護を怠ってしまい、高齢者のメンタルもさらに悪化してしまうこともあります。
そのため、認知症高齢者、特に被害妄想が強い方の場合には、「(本人が)やらないのではなく、できない可能性がある」と言うことを理解し、関わっていくことが重要となります。
介護の現場は、慢性的な人手不足に伴い、一人ひとりの高齢者に向き合う時間が少なくなっている現状があります。そのような状況で、被害妄想が強い高齢者に対して、うわべだけの返答となってしまうことも少なくありません。
認知症高齢者は、介護者が心から対応をしているのか、はたまたうわべだけの対応なのか、しっかりと理解していることが多いです。そのため、介護者の態度一つで、認知症高齢者の言動や行動も変わってくるということを知っておかなければなりません。
例えば、高齢者が何か話したい時、または話している時には、一歩足を止め高齢者の目を見て聴くこと。それだけでも高齢者の気持ちは落ち着くことがあります。これは、高齢者と同じ視点に立ち、高齢者の気持ちに寄り添うということになります。介護を行う上でとても重要なことです。
認知症高齢者、特に被害妄想がある方への対応方法について
紹介いたしましたが、いかがでしたか。何気ない介護者の行動が、認知症高齢者の被害妄想を悪化させてしまうこと、または軽減することができます。
そのため、忙しい日々の中でも、高齢者に寄り添うことで、高齢者は心身ともに安定した生活を送る事ができるということを理解しましょう。また、認知症高齢者に限らず、人と関わる際には、受容・共感・傾聴を行うことで、自身のスキルアップにつながることも知っておきたいものです。
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