介護業界初めての方が、服薬管理で知っておきたいこと

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 基本的に介護現場における服薬管理は看護師等が行います。どんな目的でどのように処方されているか、家族や医師、看護師に確かめておくことが大切です。被介護者は、薬に対する不信感や不快感、苦痛から薬を飲まないことがあります。

本人の思い込みで効かないと判断し、自分で中止する場合も起こります。ところが、医師は処方した薬の効果や副作用をみながら、薬を変えたり、使用量を加減しながら治療を進めるので、正しく服用されていることが重要となります。
 

薬の種類

薬は、形で分けると、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル、トローチ、坐薬、軟膏、貼付剤などがあります。また服用する時間についても、食前、食後などひとりひとりの決められた時間に合わせて確認します。

薬の副作用

高齢の被介護者のほとんどが薬を服用し、しかも複数の医師から処方されて、薬の種類も多く、長時間服用を続けている場合が見られます。薬の取り込みや排泄の機能が老化のため衰えており、薬に対して敏感になったり、副作用をおこすことがあります。

薬の副作用は、服用して数時間から数日で起こる場合と、数ヶ月後に慢性的に起こる場合があります。症状は、発疹、発熱、胃腸障害、ふらつきや転倒、のどの渇き、眠気などさまざまです。特に高齢者の薬の副作用では、食欲がなくなるなどの胃腸障害、皮膚に発疹が出たりめまいや眠気、排尿が頻回になるなど、日常生活に支障をきたすことが少なくありません。

医師や看護師等から副作用に関する情報を得ておき、全身状態の観察のポイントとします。なにか普段と違うと気付いたら医師や看護師等に相談します。

薬の種類と与薬方法
●散薬
量が多い時、飲みにくい時はオブラートに包みます。
水を口に含ませ、舌の上の奥のほうに入れて飲み込ませます。
●丸剤・錠剤・カプセル剤
1錠ずつパッケージから出し舌の上にのせ、水を含ませて飲み込ませます。
●水剤
ビンを静かに振ってから小さなコップに移したり、吸いのみに入れて飲ませます。直接ビンに口を付けません。次に水を飲ませます。
舌下錠・トローチ
口の中で、ゆっくりと溶かすようにします。飲み込ませないでください。
●坐薬
冷蔵庫に保管します。ワセリンなど、滑りやすいものを塗り、先のとがったほうから入れます。肛門に入れてからガーゼで2~3分押さえておきます。
●目薬
頭を軽く支え、スポイトの先を触らないようにして1~2滴落とします。

薬の保管

保管方法についても薬の性質によって、冷たく暗い場所に保管するものなどがありますが、衛生的に保管することが大切です。薬品名や処方日を明記し、誰でもわかるように保管します。

・熱源や直射日光をさけて保管します。
・他の物とまぎれない場所で、いつも決まったところに保管します。
・液剤や坐薬は冷蔵庫に入れます。
・かび、ほこり、ごみを防ぐことができる密閉容器などに入れます。

服薬の介助

高齢者自身で、薬の管理が出来るかどうか看護師等が確認しますが、理解力や視力も確認して、相手に合わせた服薬の介助をすることが大切です。集団生活の中では、食前の服薬が忘れがちになり対処法を話し合う施設も少なくありません。服薬の介助については一呼吸おいて慎重に取り扱うように心がけましょう。

薬剤の感受性とその反応

普通では、まったく反応を示さないような弱い薬であっても、高齢者では過敏に反応することがあります。一方、身体の薬剤感受性が低下したことによって、薬の効き方が弱まる場合もあります。これらの反応は、高齢者であるためだけではなく、男性か女性か、栄養状況はどうか、妊娠中か、また環境などの影響がどうかによって異なって現れます。

しかし、とりわけ、高齢者は、加齢に伴い、体内の脂肪が増加し、水分や筋肉の減少がおこってきています。また、個人差はありますが、腎機能の衰えによって、尿として薬を排泄するのが遅れるため、薬の作用が強く出ることもあります。

高齢の被介護者には、薬剤について十分説明し、正確に服薬されることに留意しなければなりません。異常が出た場合は早期に適切な対応が行われるように、常に注意して観察する必要があります。

まとめ

服薬を援助するときに注意したいのは、食事がとれない場合や衰弱している場合、または意識が低下して服薬できない場合、拒否する場合などです。速やかに医師や看護師等に相談することが大切です。高齢被介護者の服薬が確実に行われるためには、本人が薬を信頼できるように援助すること、自覚症状などを訴えやすいように配慮することも大切です。

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