排泄は人間が生きていく中で欠かす事ができません。それを支援する介護の仕事をする人は、トイレ介助のポイントを正しく把握する必要があります。ここではトイレ介助において注意が必要な事、確認すべき事などについて紹介します。
トイレまでの移動の際に転倒したり、移動に時間が掛かる事がないように環境整備は重要です。例えば移動に支障がでないように利用者と一緒に部屋を片付けたり、手すりや歩行器といった利用者の状態に合った移動に便利な福祉用具の設置を支援していきます。介護の仕事では部屋の片づけや福祉用具によって「移動が円滑に行われているか」「移動の新たな問題が発生していないか」「福祉用具は本人の状態に合っているか」等、注意深く観察していきます。
トイレで用を足すためには様々な動作を行う必要があります。尿意等を感じたらベッドから起き上がりあるいは椅子等から立ち上がる、トイレに向けて歩行する、ズボン等をおろす、便座に座る、用を足す、用が済んだら陰部等を拭く、立ち上がってズボンを上げる、トイレを流す、手を洗うといった動作です。
トイレで必要な動作の中で1つでも自分でできる部分があったら利用者本人に行って頂く事が大切です。それはできる部分を行う事で能力の維持向上につなげるためです。介護の仕事をする人は自立支援をするという意識を持って能力を低下させるような必要以上の介護を避ける必要があります。
トイレ介助に入った時には臀部等、普段は露出する事が少ない部分の皮膚を観察していきます。高齢者の中には運動量が少なくベッド上で過ごしたり、椅子に座って過ごす時間が長い人もいます。長時間同じ姿勢でいる事で、皮膚が赤くなっていたり場合によっては床ずれが発生している可能性もあります。
介護の仕事をする人は、トイレ介助の際に皮膚に異常がないか意識して確認する必要があります。少しでも「おかしいな」と感じたら速やかに医師や看護師に報告して早期の治療につなげていきます。
人によっては排尿時の観察が必要な場合があります。例えば「尿量がどのくらいなのか」「毎日何回くらいトイレに行くのか」「トイレ誘導をする時間は何時頃が適切なのか」等、排尿の状態を正しく把握するため排尿記録を付ける事があります。
このように排尿時の観察が必要な場合、排尿時に異常がないか確認していきます。排尿の勢い、尿の色、排尿時に痛みは等、何か問題がある場合には医師の診察につなげる事が大切です。
便の状態には様々な病気が隠されている可能性があります。例えば便の色が黒い場合には消化器官から出血している事も考えられます。他にも便の形状が固く乾燥している状態であれば毎日排便があったとしても便秘と判断できます。
「最近食欲が落ちてきた」「腹痛を訴えている」「身体がだるい」「顔色が悪い」といった症状が見られる時は排便時の異常を疑ってみる事も必要です。
介護の仕事では、麻痺があったり下肢筋力の低下によって便座への移乗介助が必要、頻尿や失禁といった排尿障害によって内服薬の服用やトイレ時の移動を円滑にするための環境整備が必要といった、状態に応じてトイレを安全に利用して頂くための支援に取り組みます。
トイレは日常生活動作の1つで人々が暮らしていくために決して欠かす事ができない行動です。介護の仕事における適切なトイレ介助は、多くの人々の暮らしを支えるやりがいのあるものです。トイレ介助に関する知識を身につけ、安心して排泄を行うための支援を提供する事が介護の仕事には大切です。
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