ケアプランを作成するにあたっての基本的な考えとして、『ケアプラン作成の目的は利用者の生活環境を改善していくためのものだ』ということです。
ここでは、ケアプランを作成するにあたって、利用者とどのように接したら良いのか?そして、その利用者にとって本当に必要なケアプランはどういうものなのか?を考えるヒントを紹介します。
ケアプランを作成するためには、相手の現在の困っている点を聞き取ることが大切ですが、時に遠慮してしまい、本当に必要なサービスを見逃してしまうことや利用者とその家族との会話がかみ合わないことがあります。
認知症になってしまっても社交性の高い方であれば「大丈夫だから」といって相手に迷惑をかけたくないという一心で対応されたりします。
実際には行動が伴わないことや家族に内緒にしておくように口止めしている場合もあります。
自身の状態を把握しきれず、「私は介護されるほど弱っていない」と言い返されることもあります。
また、本心では「援助してもらいたい」と考えていても、いきなり初対面の相手にすべての本音を晒すことのできる人は少ないかもしれません。
一度で完璧なケアプランを作成していこうとは考えないほうがよいでしょう。
本人や家族の生活背景や性格、本当のニーズを聞けるようになるまでは時間が必要となります。
そして少しずつ距離を縮めていって、初めて本音を聞くことができることもあります。
利用者や家族との意見がかみ合わず、ケアマネジャーの方から提案をするケースもあります。
しかし、一方的に提案を進めてしまうと時にニーズに合っていない提案をしてしまう時があります。
「最近買い物に出かけることも無くなった」という会話があった場合、「じゃあ訪問介護を入れて買い物してもらいましょう」というのは決定が早すぎます。
そこでは「何が原因で買い物に出かけられなくなってしまったのか」という点に注目し、もう少し情報を得る必要があります。
もしかすると、身体の問題ではなく、心の問題のケースもあります。
相手の会話を引き出すためには、様々な要因があると言われています。
声のテンポ、トーン、顔の表情、相槌などを意識し、相手にとって「この人になら話してもいい」という雰囲気作りにも努めましょう。
ケアプランで提供できるサービスは一定ですが、利用者の現在までの人生背景は一定ではありません。
利用者の人生は皆それぞれ異なるため、会話の中から少しずつ情報を集めていく必要があります。
利用者の中には教員や警察官、また看護師を勤めた方もいます。戦争を経験し、家族を亡くされた方もいます。
まずは利用者の情報を聞き集め、そこから現在の状況をよく観察しておきましょう。
利用者本人の望んでいることは何か、周囲の家族が望んでいることは何かを少しずつ聞き取り、そしてサービスを提案できるようにしていきましょう。
ケアマネジャーとして勤める際、担当の人数にも上限がありますが、慣れるまでは自分の思ったような提案ができないこともあるかもしれません。
逆にアセスメントを1度で済ませようと構えてしまうと、失敗することもあります。
ケアプランを決定しても、サービス途中で変更を希望されるケースも少なくありません。
アセスメントは1度や2度では終わらないことの方が多いので、1度でぴったりなケアプランが完成しなくても、その分ニーズに合ったプランに近づいているので安心してください。
まずは利用者や家族の声に耳を傾け、そこから適したサービスを提案できるように話を進めていきましょう。
そしてお互いの信頼関係が出来上がった時、初めて相手のほうから本当の要望が出てくるのです。
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