介護施設は急性期病院などと比較すると状態の落ち着いている高齢者が利用するものですが、決して急変が無いとは言えません。
高齢になればなるほど、慢性疾患を抱えながら生活している人も多いためです。
ここでは、介護施設で働く看護師が、利用者の緊急事態時に留意すべき点について書きます。
介護施設で起こる緊急事態は、誤飲や転落事故など日常生活の中から起こり得ることの他に、持病が原因で引き起こされる急変もあります。
重症であると、突然青い顔で倒れ心肺停止したり、けいれんやショックを起こして救急搬送になることもあります。
日常生活のケアの現場で起こることは発見しやすい事が多いです。スタッフの目も多いですし、入浴やレクリエーションの現場などでは、事故が起きないように意識して気をつけています。
しかし、午睡中や夜間就寝中など個別の部屋にこもっていたり、スタッフもほっと一息つくような瞬間の急変も多いです。例えば、夜間帯に居室で就寝している間などに急変ということも決して少なくありません。
介護施設で緊急事態が起きた時、医療施設の様な蘇生処置はなかなか出来ません。医療器具も人材も少なく、場合によっては十分な対応ができないこともあります。
AEDを備えている施設も増えてきていると思います。AEDがある施設であれば、AEDに関しては熟知して使えるようになっておく必要はあるでしょう。
介護施設では、骨折に対する添え木や誤飲に対する吸引など、器具や機材・また人材で行える処置はありますが、場合によっては、一刻でも早く医療施設へ搬送するしかないこともあります。
そのような時、看護師はどう動けばよいでしょうか。緊急時に行うことはたくさんあります。何より介護士と連携を取って動くことが必要です。
まずは施設医やかかりつけ医への報告です。一刻を争う時は、細かいバイタルサインより今の意識レベルや生命レベルのみで救急車を呼ぶかどうかの判断を仰ぎましょう。同時に家族やキーパーソンへの連絡を行います。
その時、「どのくらいで到着するか」「搬送先に直接来てもらうなら、そこへ何分くらいで着くか」を必ず確認します。生命レベルで危険のあるときは、緊急処置をどこまでするかの意思決定がとても大事になります。
普段から話し合いが出来ていることが理想ですが、やはりその場での確認も必要なこともあります。家族やキーパーソンの到着時間によって、医療者は出来る処置をします。時間の確認は重要です。
また、こういった連絡事項や救急車の通り道の整備、その他の入所者のケアなどを介護士と手分けして行います。看護師は急変した利用者に付き添わなくてはなりません。
基本的には看護師の方は急変に慣れているはずですから、利用者から目を離さず、看護師はそのほかのスタッフに口頭で指示を出しましょう。
急変した後に慌てないために、「何か変」「いつもと違う」ということに気付くことが大切です。自分の状態をきちんと言える利用者は良いですが、認知症や言語障害などで適切に表現できない人もいます。
また認知症で常に「お腹が痛い」「頭が痛い」が口癖の人もいます。いつものこと、と流さずに毎回きちんと確認する癖をつけましょう。利用者の訴えだけでなく、バイタルサインや顔色、歩行状態や食欲などから急変する可能性を予測する癖をつけておくと安心です。
利用者の既往から起こり得る事態を常に考えておくのも大切です。
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