福祉施設での看護師の役割~内服やインシュリン管理~

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福祉施設であっても、介護士ができる行為とできない行為があります。厚生労働省によると医療行為は禁止、医療的ケアは可能という実にわかりづらい説明です。

医療行為とは、『医学的判断と技術が無ければ人体に危害を及ぼす可能性があること』と定義されています。具体的に内服やインシュリンに関してはどうなのかみていきます。

■福祉施設での内服投与

施設内の内服投与や介助は、介護士も可能です。ただし、前提があります。

まず患者自身の容態が安定していること、内服量も特に変更するかどうか考慮する必要が無い状態であることです。
なので、内服投与に関しての看護師の役割は患者自身の容態が安定しているか見極めることとなるでしょう。

例えば高血圧症に対して、降圧剤を服用している患者に関しては日々のバイタルチェックで血圧が安定しているかを判断します。
そこで、問題なければ処方されている内服の投与は介護士で良いということになります。

介護士が行う内服の介助は、一包化されたものが推奨されています。
薬剤量が多く、すべて個包装になっているときはダブルチェックでも、間違いないようにする工夫が必要です。
受診時安定している患者に関しては、医師に一包化を依頼しましょう。

■福祉施設でのインシュリン管理と投与

インシュリンの自己注射の介助は医療行為に当たり、介護士が行うことはできません。
糖尿病でインシュリンの自己注射をしている方は少なくありません。
インシュリンを自分自身に打つ行為は違法ではないのですが、介護士が打つのは禁止されています。

しかしながら、介護士でもインシュリンを用意したり、単位を確認することはできます。
高齢になり目が悪くなったり手先がききづらくなった場合は、自分ですべて用意したり単位を間違えず打つのが難しくなります。

その時、一緒に確認するのは良いのですが実際に打つことはあくまでも本人か看護師の仕事になります。
インシュリンの注射に間違いがあれば、低血糖や高血糖など、特に高齢者であれば即時意識レベルに直結するような事態が起こりえます。

また、皮下注射などの知識と技術も必要なため、看護師特有の仕事になります。
インシュリン管理に関して、冷所保存なども看護師が責任を持つ仕事になります。

■福祉施設での血糖チェックに関して

インシュリン注射をしていると血糖は大丈夫か、つい確認したくなります。
降圧剤を服用している時の血圧測定などは簡易的にできますが、血糖チェックはその器具も無い場合もあります。

インシュリン注射をしている人に限っては血糖測定器をレンタルできることもあり、自分で血糖が測れる人もいますが、持っていない時は患者の状態から血糖異常が無いか判断するしかありません。

意識レベル、冷汗や口渇など見えてくる症状から患者の血糖は正常に推移しているか確認しなくてはならないので、これは看護師の力の見せ所です。
簡単に数字で測れる病院より、知識や技術が必要です。

また、当然ですが食事量の低下などがあればインシュリンの量の変更や投与自体の中止も医師に打診しなくてはなりません。
ただ決められた量を、決められた時間に打てば良いものではないので看護師がしっかり管理する必要があるでしょう。

■まとめ

施設内でのあらゆる手技や行為に関しては、賛否両論、議論が続けられている所です。
ただ、看護師の役割は現状の健康状態を維持することです。
それを考えると、その行為により健康レベルに影響する可能性があることは、やはり看護師がチェックしていかなければなりません。

福祉施設に居るからと言って、状態が安定しているとは限りません。
入所の時は安定していることが条件でも、変動することはあります。
そのことを考え常に考慮しながら従事する必要があります。

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