食べる事は人間が生命を維持する上でとても重要な行為です。食事の際は、高齢者の心身の状況などの把握も必要になります。食事バランスや楽しく食事をする工夫、調理の形態の工夫なども大切です。ここでは高齢者の食事介助で留意すべき点について説明します。
一口に食事介助といっても、すべての高齢者の方に同じ介助をすればいいというわけではありません。食事の介助にあたっては、その人の食習慣や好みなどの個別性を大切にします。その人に対する食事の意義と目的を考えながら、必要以上の介助はなるべく控えます。
見守りと声かけをしながら食事の自立を支援していきます。
食事をする事で高齢者の心身に3つの良い効果が期待できます。
まず、食事によって、1日のリズムをつくる事ができます。
次に、他者と食べることによって、食事の場は交流の場にもなります。
最期に、食事は高齢者に満足感をもたらすこともあります。義歯の具合や嚥下機能に合わせた食事の形態を工夫していくことで、おいしく食べることが可能になります。美味しく食べることができると食欲も出てきます。
食事の際に高齢者の方に行うオススメの確認事項があります。とても大切なので、日頃からチェックしていきましょう。
・トイレは済んでいるか?
・体の不調はないか?
・義歯は入れたか?
・食前の薬は飲んだか?
・異食の行為のある方の回りに危険なものが置いてないか?
このような確認を習慣化して行うようにしましょう。
・食べる速さは適当か?
・手が止まっていないか?
・食べこぼしがないか?
・食べる量は適当か?
・嗜好物への配慮。むせないか窒息していないか?
上記を確認する必要があります。
食事や水分摂取量の把握など。食後の残量が多い場合は、体調の確認をしたり、適正な食事形態ができているかを確認します。
毎日の食事のなかで高齢者の食欲は環境に左右されます。食べる環境がベッド上や臭いがあるところ、他の高齢者が大声をあげたりして落ち着きのないところなどでは、いくら美味しいものが出てきても、食欲がわかず美味しく楽しく食事ができません。
介護士は可能な限りベッド上で食事をしている方には離床を促します。介護士には、清潔かつ明るい食事環境を整えて提供していく役割があります。
意外と重要で忘れてはいけないのが、私たち介護士の適度な声かけです。
「今日のお魚美味しそうですね」
「今日は沢山食べられて良かったですね」
など、適度な声かけで高齢者の食事の満足度も上がります。
食べ物や飲み物、唾液が誤って食道に入ってしまうことを「誤嚥(ごえん)」と言います。私たちなら、「誤嚥」すると咳き込んだりして異物を取り除く「異物反応」が起こります。しかし、高齢者は体力が弱ってしまっている方だと、異物を排出する事ができません。
そうなると食べものが肺のなかに蓄積し、炎症を起こし、誤嚥性肺炎になります。また、窒息の恐れも有るため注意が必要です。「誤嚥防止」に必要なのは食事の工夫です。まず、主食は状態に応じてお粥やパン粥、柔らかいご飯などがあります。
お箸やスプーンが持てない方なら、おにぎりなどで工夫します。副食には一口大、粗刻み、極刻み、ミキサーなどがあります。施設では看護師、介護士、管理栄養士と相談し、食事形態を決めていきます。
「噛む能力」「飲み込む能力」を充分に見極めた上で適切に判断していきましょう。必要に応じて、プリンやヨーグルトや捕食ゼリーを使用します。肺炎を心配するあまり、食事の形態を落とし過ぎると、食欲が落ちたりその為に体重減少が起こったりします。
多職種で慎重に判断し、できる限り楽しい食事が提供できるように頑張りましょう。
高齢者にとっても楽しみの食事ですが、年齢を重ねることで心身のさまざまな不調により、思うように食事が出来ないことが多々あります。介護士の私たちが適切な介助を行うことで、安全で楽しい食卓を提供することができます。
カテゴリ
アーカイブ