うつ病の被介護者への接し方

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様々な被介護者がいらっしゃる中では、うつ病の方もいらっしゃると思います。それは認知面から現れるものであったり、身体的な面で現れたりするものもあります。どんなに明るい被介護者も、心の中での鬱は存在します。それは私たちも同じことです。今回はうつ病の症状が強く出ている方への接し方をご紹介いたします。

「食べたくない」食事拒否をされた時

食事をとるという行為は生きることに直結します。食事拒否をされた時、既に食席に座られているのか、ベッド上で寝たままなのか。そこが対応の判断基準にもなります。

食席に座られていて、目の前に食事が来ても「食べたくない」とおっしゃる時は自分に目をかけてほしいことが多いです。(一概には判断が難しいです。) そのような場合、常食のご飯であれば「おにぎりにしましょうか?」と声をかけてからおにぎりを作ってみてください。主菜を中に入れてもいいし、あればふりかけをさっとかけるだけでも彩も味も変わり食べやすく、昔から食べていたおにぎりであれば意欲がわくことも多いです。

ベッド上で寝たまま「食べたくない」というのは、主に動きたくない、部屋から出たくないという気持ちが大きくなっています。ここで「ごはん冷めちゃいますよ。」という声掛けは絶対にNGです。冷めたとしても食べたくない、起きたくないのです。嚥下状態にもよりますが、居室にお食事を運んでみてください。冷めているのであれば温め、少しでも食べたいと思える努力をしてみましょう。

「冷めてしまうから食べましょう」ではなく、「温かいうちに召し上がってみませんか?」と促してみましょう。部屋から出て食席まで行く気力がなくても、ベッドから体だけ起こして温かいものを食べる気力はあるかもしれません。部屋の外へ出るというのは存外うつ病患者にとっては難しいことなのです。

「辛いから病院に連れてって」病院に行きたがる時

実際に定期的に病院に行けるようにできれば一番です。しかし、そうはいかない場合もありますよね。家族が連れて行かない方針だったり、行ったばかりなのに行きたがったり。

さて、本人が本当にしたいのは「病院に行くこと」なのでしょうか?そうでない場合もあります。本当にしたいことは、外に出て空気が吸いたいことかもしれません。散歩をして花を見たいことかもしれません。

もしくは、病院の先生(受診中のみとはいえ自分だけのことを考えて辛いことを認めてくれてまっすぐ話をきいてくれる人)と話がしたいのかもしれません。

なので、利用者が「病院に行きたい」と言った時は、天気が良い日だったら外に出てお散歩を促してみてください。もしくは、部屋で被介護者の話を聞いて痛みや辛さを認めてあげてください。そうすることで、利用者の気分が落ち着いて、必要以上に病院に行きたがることが少なくなります。

「できない。何もできなくなった」介護依存が強い時

このうつ症状は脳梗塞等により片麻痺になった方に多くみられる症状です。急にできたことができなくなって、リハビリで動くようになったとしても完全には治らない。そんな現実を目の当たりにして、落ち込む方は多いようです。特に認知症の症状のない方によく表れます。

そういった症状が出る方には、リハビリで動くようになったときに「何が出来るようになるか」を明示してあげることが大切になります。箸を持って食事ができるようになれば外食ができるようになるようですとか、服を自分で着脱できて歩けるようになれば温泉に行けるようですとか、少しずつでもできることが増えてくると近い将来の望みの実現につながります。そのようなイメージさせてあげるような努力が大切です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?うつ病の方への対応として大切なことは、「否定しないこと」「責めないこと」です。直接的な否定や責めではなかったとしても、間接的に追い詰められてしまうような言葉になっていないかどうか、少しでも本人のやる気を引き出せているかどうかが大切です。

しかし、うつ病では上記のような対応をしたとしても拒否される場合もあります。その時は拒否を受け入れ、また明日に声掛けしましょう。しつこくしては、利用者との関係も壊れてしまう可能性があります。時間がかかっても、その方に愛情を持って接していくことを心掛けましょう。

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