杖歩行など被介護者の歩行介助方法

pixta_17264886_M
歩行介助に一番大切なことは安全です。歩行介助は、「歩ける」というADL(Activities of Daily Living: 日常生活動作)の維持においても大切な介助です。歩行介助にもいくつか種類があり、入浴中等、シルバーカーが使えない場所での掴まり歩きが必要な方の歩行介助や
自立はしているけれど片麻痺で杖歩行をしている方の歩行介助などがあります。今回はそれらの効率的な介助方法を説明していきます。

掴まり歩きが必要な方の歩行介助

掴まり歩きができる方はシルバーカーを使われるのが主だと思いますが、浴場等でシルバーカーごとすべりやすい場所や、砂利道でシルバーカーが使えない場合もあります。そういった場合での安全な歩行介助をご紹介します。

まずは被介護者の前に立ちます。介護者は自分の腕を直角に出し、所謂小さく前へ倣えのようなポーズをとります。手は開いて上へ向けましょう。被介護者に腕を乗せてもらいましょう。

ここでポイントになるのは、あくまで腕をのせてもらうだけ、ということです。下手に介護者が被介護者の腕を掴んでしまうと、転びそうになった際支えようとして腕を掴み、被介護者の腕を、ずるりと皮膚剥離することにもなりかねません。腕をのせてもらったとき、介護者の手が被介護者の肘にあたるくらいが丁度いいでしょう。

また、浴場で歩行介助を行う際は、歩く場所はあらかじめ滑り止めと足ふきマットの用意が必須です。介助者ごと転んでしまうのを防止しなければなりません。

杖歩行の方の歩行介助

杖歩行の方で特に怖いのは「膝折れ」と「躓(つまづ)き」です。ふらつきとは違い、はっとした瞬間に転びそうになるこの二つは特に注意が必要です。その際とっさに支えられる歩行介助を紹介します。

まず杖歩行の場合、最も安定した歩行方法は3点歩行になります。3点歩行は、杖→患足→健足の順序にそって歩行することです。2点歩行もありますが、2点では杖と患足を同時に出すことになり、早くは歩けますがその分危険も大きいのでお勧めできません。

では、実際に杖歩行の方の介助を説明します。歩行の際、介護者は被介護者の患側の斜め後ろに立ちます。この時身体を下手に支えたり触れたりする必要はありません。ただし被介護者をいつでも支えられる態勢をとり、歩幅や歩行速度、杖のつく位置など注意していただきたいのですが、躓き防止として膝の上がり具合等を特に観察していた方がいいでしょう。

階段での杖歩行における昇降介助

杖歩行の際、リハビリに階段を使用することや、居宅等での階段での介助もあると思います。番外編として階段の昇降方法の紹介をしたいと思います。

まず昇る時の介護者の位置は平坦な道と同じように、患側の斜め後ろに立ちます。被介護者の歩く順序は、先ほどの3点歩行とは少し違い、杖→健足→患足の順になります。こちらは平坦な道とは違う順になりますので注意してください。

降りる時の介護者の位置は昇る時と違い、被介護者より一段下に降りて患側斜め前に立ちます。被介護者の歩く順序も昇る時と違います。杖→患足→健足の順番で降りていただきましょう。勿論階段での昇降介助時も下手に支えたり触れたりする必要はありません。
 

まとめ

いかがでしたでしょうか?先の見出しでも言ったように歩行介助で一番大切なのは安全です。この安全には介護者の安全も含まれています。もし被介護者が転びそうになった時に支えきれそうにない場合は、逆に姿勢を低く保ち、受け止めることもできます。体格差がある場合もあると思います。無理に支えようとして共倒れしてしまっては介護者も被介護者も怪我をしてしまう可能性があります。そうなってしまっては本末転倒です。「自分も相手も安全に」それが正しい歩行介助です。

一見簡単そうな歩行という動作ですが、実は危険が沢山あります。施設内では良いですが、一歩外に出ればバリアフリー風潮が広がる今でも段差やちょっとした小石など危険がいっぱいです。杖歩行の方で長距離を歩いていただく場合は、あまり無理せず車椅子を併用するのもいいでしょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリ

アーカイブ

メールでのお問い合わせはこちら

お電話でのお問い合わせはこちら

受付時間:9:00~18:00(日曜日・祝日休業)

人材をお探しの採用ご担当者様はこちら