食事には健康を保って生命を維持していく事、美味しいものを食べる事で日常生活に満足感や充実感を持つ等、人々が生きていくために必要なものです。これが様々な病気や障害によってスムーズにできない方もいます。
介護の仕事では「どのようにすれば適切に食事が摂れるのか」考えて支援していく事が大切です。ここでは食事介助のポイントと確認すべき事について紹介します。
介護を受ける人の状態に応じて確実に食事を摂れる環境を整える必要があります。例えば麻痺があって食材を皿から取る事が困難な場合、滑り止めのついた皿を使用する、食材を取りやすい形状になっている皿を使用する等の対応をします。
また、食材を口に運ぶ事が困難な場合には柄の長いスプーンを使用する、食事の食べこぼしが多い場合にはエプロンを使用する、認知症等で周囲の音が気になって食事に集中できない場合にはテレビを消して静かな環境で食事を摂るといった、その人の状態に合った配慮を行っていきます。
食事においても、できる限り自力で食事を摂る方法を考える必要があります。食事のような日常的に行う動作を自立して行う事で、それ自体がリハビリとなり能力低下の予防につながります。
どのような方法を用いても自力での食事摂取が困難な場合は、食事の全介助を行っていきます。その際には十分に注意が必要な介助のポイントがあります。
例えば麻痺がある方の場合、食材を口に運ぶ時には健康な側に入れるようにします。これは麻痺側に入れると食材を十分に噛む事や食道に送り込む事が困難であるため、口の中に食材が溜まってしまう恐れがあるからです。
全介助を行う時は、最初にお茶や汁物から召し上がっていただきます。これは口の中を湿らせる事で、口に入れた食材が柔らかくなり飲み込みやすくなるためです。
食事中の姿勢にも十分に注意します。顎が上がっている状態では誤嚥のリスクも高まります。身体が傾いていたり、のけぞっていないか確認して姿勢を整える事が必要です。
全介助が必要な人は、心身機能の能力が低下していて誤嚥の可能性が高くなります。食材を口に運ぶ量は少量で、きちんと飲み込んでから次の食材を口に運びます。
食事介助は、食事中の様子観察も含まれます。食事中に「むせこむ事が多い」「食事を摂る事に時間がかかっている」「食事中に疲れた様子が見られる」等の場合、嚥下障害を起こしている可能性があります。
また「使用している滑り止めの皿やスプーンが適切に使用できているか」「普段は自立して食事を摂っている方に何か支障はでていないか」のように自力摂取可能な方に変化はないか観察していきます。
普段食事を全量食べていた方が、食事量が少なくなってきた場合には心身に何らかの変化が起こっている可能性があります。介護の仕事をする人にとって食事中の様子観察は、心身の変化を早期に発見するための重要な意味を持ちます。
介護の仕事では多くの職場で食事介助をする事になります。食事介助の知識を磨いて適切な支援を行う事で、多くの人々の健康維持に役立ちます。
また食事を楽しみにデイサービスに通ってきたり、老人ホーム内で過ごしている方もいます。普段の食事の内容にご満足頂けているか聴き取りをして改善につなげる事も介護の仕事の大切な役割です。
食事は日常生活に欠かせない動作です。日常生活を支援する介護の仕事では食事介助に関する知識は必須となります。食事介助の正しい知識を身につける事は、様々な事情により食事摂取が困難になっている人を支え「誰かの役に立っている」「人々の健康と暮らしを守っている」というやりがいにつながっていきます。
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