施設介護においてトイレでの排泄介助は、基本的で重要な介助です。よくあるトイレ介助対処法として、今回はトイレコールの多い利用者、もしくはトイレの訴えの多い利用者様の対応について説明します。
トイレに行って実際に排尿するわけでもないのに、何度も「トイレに連れて行ってください」と訴える利用者がいらっしゃいます。トイレの後、5分も経っていないのにまた「トイレに行きたい」と訴えたり、多い時はトイレから出て席に戻るまでに「トイレ!」と訴える時もあります。
そういう方は意識がすべてトイレに行ってしまっている場合があります。その意識を少しずつでも別のことに向けてあげることが必要です。
例えば塗り絵が好きな方なら塗り絵をすることを促したり、音楽が好きな方なら音楽をかけ歌を歌っていただいたり、おしぼりを巻いてもらう作業等をすることによって一時的に気をそらすことができます。
また、職員が視界に入ると、職員がいるうちにトイレに連れてってもらおうという気持ちになってしまう方もいます。そういうときは少し視界から外れて相手に見えないところで見守りを行いましょう。
夜間トイレコールが頻回な利用者の中に、ある程度立位が安定されて自力歩行が危ない方がいらっしゃいませんか?そういった方はベッドサイドにポータブルトイレを置いてみましょう。すぐにトイレに自分で行けるという安心感から、あまりトイレコールが鳴らなくなることもあります。ただし、立位が不安定な方には厳禁です。ベッドサイドのトイレが転倒の元にしかなりませんので、ポータブルトイレの設置を中止してください。
「トイレに行きたい」というのは、何も本当にトイレに行きたいわけではないかもしれません。しかし何度も何度もトイレに行って少しずつ排尿をするのは、本人にとってもよくありません。「膀胱のリハビリになりますから少し我慢してみましょう」と声掛けをしてみましょう。
リハビリとなると張り切る利用者様もいらっしゃいます。それでしばらく我慢ができれば「リハビリお疲れさまです。また次も頑張りましょうね」と励ましつつ声掛けを行います。そうして少しずつ少しずつ我慢をしていただく時間を増やしていきます。本人にも達成感のある声掛けができれば一番です。「前より我慢できていますよ」などの声掛けです。
そしてそれとは別に、車椅子を自走できる利用者で、「トイレに連れてってください」とおっしゃった場合は、トイレまで自走していただくことをお勧めします。「リハビリですから自分で行ってみてください」等、リハビリという言葉をきくと、「頑張らなくちゃ」と思う利用者もいらっしゃいます。
しかし、鬱傾向が強い利用者には「頑張りましょう」といった声掛けは厳禁です。鬱傾向の方には「先に別の方を案内してもいいですか?」と、少しでも待っていただいたあと「ありがとうございました。助かりました」等、暖かい声掛けを行うことが大切です。
今回この問題で何が一番大切なのでしょう?それは利用者に対して「さっき行ったでしょ!」「あとでね!」等と言わないことです。こちらからしたら数分数秒前に行ったトイレでも、本人の気持ちからしたらもう何時間もトイレに行けてないのかもしれません。あくまで利用者の立場に立った声掛けが必要です。もしトイレ介助でお困りのときは実践してみてください。
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